Soseki Natsume Botchan
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【汽船】
蒸気船.その機関は,熱エネルギーで蒸気をつくり,その圧力で,ピストンを動かしで動力を得る仕組みである.
特に燃料に石炭を用いている前世代の船のことである.大きな煙突(大型船ならば何本も並ぶ)があるのが特徴で,そこから黒い煙が昇る.
現代の船(*「ヒュンダイの船」ではなく「げんだいの船」)の機関はディーゼルやガスタービンが主流で,その燃料は主に重油(C重油)である.排気の煙の量は大幅に減少したので,煙突は小さくなり,数も少なくなっている.客船の中には,往年の豪華客船に似せて,偽装の煙突を付けているものもある.今や煙突は径の小さなパイプでこと足りるが,客船の多くはその細い煙突の周りを太いカバーで多い煙突のように見せることで美観をよくしている.もっとも,この煙突のような部分(化粧煙突)は,船の所属を示すファンネルマークを着ける場所という役割を担っている.
【艀】
艀船,伝馬船のこと.岸と停泊中の船(岸に近づけない)を往復して人や物を運ぶ.
【船頭】
船の長.ここでの船は船頭が一人いて,漕ぐような小さな木造船だと思われる.
【大森】
現在の東京都大田区の東部にある,旧大森区.かつては東京湾に面し,江戸時代に天領に指定された.浅草海苔が採れる漁村であり,農業も盛んであった.東海道の品川と川崎の間の街道でもあった.明治時代の1872年に新橋・横浜間に初の鉄道が開通し,大森にも鉄道が走った.現在この地区の中心である大森駅ができたのは4年後の1876年である.さらに1877年に汽車に乗ったモースは大森貝塚を発見している.大正時代1923年に起きた関東大震災を逃れた都心の人々が移り住むようになり,地区の海側である東側に町工場が増えた.これに伴い徐々に漁業が衰退していき,戦後の高度成長期には積極的に海が埋め立てられ,京浜工業地帯の一画として工場が占めるようになった.現在,この地はマンションなどの住宅が開発されている.なお浅草海苔の養殖は行われていない.アサクサノリは絶滅危惧I類である.
【いの一番】
まっさき.いろは歌で「い」が一番最初だったことが語源.
【猫の額】
面積が狭いこと.
【筒っぽう/筒っぽ】
筒袖の着物.筒袖は洋服と同じもので,袂がない.ねまきや仕事着であった.
【門口】
門あるいは建物の出入り口.
【二里】
7.9キロメートルほど.
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