Natsume Sōseki
Nihyaku-tōka(The 210th Day)
「そんなにおかしいか」
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「そんなにおかしいか」
「おかしいって、誰に聞かしたって笑うぜ」
「そんなに有名な男か」
「そうさ、荒木又右衛門じゃないか」
「だから僕もどこかで聞いたように思うのさ」
「そら、落ち行く先きは九州
「云うかも知れんが、その句は聞いた事がないようだ」
「困った男だな」
「ちっとも困りゃしない。荒木又右衛門ぐらい知らなくったって、
「腕力や脚力を持ち出されちゃ駄目だね。とうてい
「君は第一平生から
「これでよっぽど有るつもりなんだがな。ただ
「ハハハハつまらん事を云っていらあ」
「しかし豆腐屋にしちゃ、君のからだは奇麗過ぎるね」
「こんなに黒くってもかい」
「黒い白いは別として、豆腐屋は大概
「なぜ」
「なぜか知らないが、箚青があるもんだよ。君、なぜほらなかった」
「馬鹿あ云ってらあ。僕のような高尚な男が、そんな
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