Natsume Sōseki Nihyaku-tōka(The 210th Day)
「すると、門前の豆腐屋がきっと起きて、雨戸を明ける。
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「すると、門前の豆腐屋がきっと起きて、雨戸を明ける。ぎっぎっと豆を
「君の
「僕のうちは、つまり、そんな音が聞える所にあるのさ」
「だから、どこにある訳だね」
「すぐ
「豆腐屋の
「なに二階さ」
「どこの」
「豆腐屋の二階さ」
「へええ。そいつは……」と碌さん驚ろいた。
「僕は豆腐屋の子だよ」
「へええ。豆腐屋かい」と碌さんは再び驚ろいた。
「それから垣根の朝顔が、茶色に枯れて、引っ張るとがらがら鳴る時分、白い
「門前の豆腐屋と云うが、それが君のうちじゃないか」
「僕のうち、すなわち門前の豆腐屋が腰障子をはめる。かんかんと云う声を聞きながら僕は二階へ上がって
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