森鴎外 『高瀬舟』
Mori Ōgai Takasebune
庄兵衛の心の中には、いろいろに考えてみた末に、自分よりも上のものの……
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庄兵衛の心の中には、いろいろに考えてみた末に、自分よりも上のものの判断に任すほかないという念、オオトリテエに従うほかないという念が生じた。庄兵衛はお奉行 様の判断を、そのまま自分の判断にしようと思ったのである。そうは思っても、庄兵衛はまだどこやらにふに落ちぬものが残っているので、なんだかお奉行様に聞いてみたくてならなかった。
次第にふけてゆくおぼろ夜に、沈黙の人二人 を載せた高瀬舟は、黒い水の面 をすべって行った。
<完>
【念】
考え.思慮.
【オオトリテエ〈 authorit 〉】
(法的な)権威.権力.
【奉行】
ここでは「京都町奉行」で,喜助を裁いた者.
【ふに落ちぬ/腑に落ちぬ】
納得ができない.「腑」は,はらわたの意味.
【おぼろ夜】
おぼろ月(朧月)が照らす夜.「おぼろ月」は春の夜に現れるほのかに霞んだ月.
【面】
ここでは水面の意味.
次第にふけてゆくおぼろ夜に、沈黙の人
<完>
【念】
考え.思慮.
【オオトリテエ〈 authorit 〉】
(法的な)権威.権力.
【奉行】
ここでは「京都町奉行」で,喜助を裁いた者.
【ふに落ちぬ/腑に落ちぬ】
納得ができない.「腑」は,はらわたの意味.
【おぼろ夜】
おぼろ月(朧月)が照らす夜.「おぼろ月」は春の夜に現れるほのかに霞んだ月.
【面】
ここでは水面の意味.
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