Natsume Sōseki
Nihyaku-tōka(The 210th Day)
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「聞えるだろう」と圭さんが云う。
「うん」と
「そこで、その、相手が
「ふうん。とうとう小手を取られたのかい」
「とうとう小手を取られたんだあね。ちょいと小手を取ったんだが、そこがそら、
「ふうん。竹刀を落したのかい」
「竹刀は、そら、さっき、落してしまったあね」
「竹刀を落してしまって、小手を取られたら困るだろう」
「困らああね。竹刀も小手も取られたんだから」
二人の話しはどこまで行っても竹刀と小手で持ち切っている。
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【日脚/日足】
(1)雲の切れ間などからもれる日光.
(2)昼間の時間.太陽が空を東から西に移動する速さ.
【黙然(もくねん/もくぜん)】
だまっているようす.
【竹刀】
竹製の稽古刀.剣道に用いる.
【小手】
(1)剣道で手首と肘の間を打つ決まり手の一つ.
(2)鎧の一部.肩先から腕を覆う.
【対坐/対座】
向い合って座ること.さしむかい.
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