森鴎外 『高瀬舟』
Mori Ōgai Takasebune
庄兵衛は喜助の顔をまもりつつまた、「喜助さん」と呼びかけた。今度は「さ……
前へ
庄兵衛は喜助の顔をまもりつつまた、「喜助さん」と呼びかけた。今度は「さん」と言ったが、これは充分の意識をもって称呼を改めたわけではない。その声がわが口から出てわが耳に入 るや否や、庄兵衛はこの称呼の不穏当なのに気がついたが、今さらすでに出たことばを取り返すこともできなかった。
「はい」と答えた喜助も、「さん」と呼ばれたのを不審に思うらしく、おそるおそる庄兵衛の気色 をうかがった。
庄兵衛は少し間 の悪いのをこらえて言った。「いろいろの事を聞くようだが、お前が今度島へやられるのは、人をあやめたからだという事だ。おれについでにそのわけを話して聞せてくれぬか。」
「はい」と答えた喜助も、「さん」と呼ばれたのを不審に思うらしく、おそるおそる庄兵衛の
庄兵衛は少し
次へ
【充分/十分(じゅうぶん)】
物事が満ち足りて不足や欠点がない様子.
【称呼(しょうこ)】
呼び名.名前を呼ぶこと.
【不穏当(ふおんとう)】
(1)不適切で,理にかなっていないこと.
(2)穏やかでないこと.
【不審(ふしん)】
疑わしく思うこと.
【間の悪い】
(1)きまりが悪い.ばつが悪い.
(2)運が悪い.
【充分/十分(じゅうぶん)】
物事が満ち足りて不足や欠点がない様子.
【称呼(しょうこ)】
呼び名.名前を呼ぶこと.
【不穏当(ふおんとう)】
(1)不適切で,理にかなっていないこと.
(2)穏やかでないこと.
【不審(ふしん)】
疑わしく思うこと.
【間の悪い】
(1)きまりが悪い.ばつが悪い.
(2)運が悪い.
0 件のコメント:
コメントを投稿